2013年9月11日水曜日

東北・宮城研修 〜前編〜




肌寒くなってきた、9月上旬。

ARTZONEでは「東北画は可能か?」が盛況にオープンした中、
とあるARTZONE学生スタッフ4人と先生2人は、東北・宮城へ—・・・

行き先々は、仙台、石巻、女川、南三陸。
2泊3日の被災地の現場に行きました。

(今回の研修をおえて、自分たちがみた今の被災現場や出会った人のことを
多くの人に少しでも、みてほしいと思ったので、
ボリュームがありますが、経験を記事にしたいと思います。)


これは、震災後の日本と芸術を考えることを大きな主旨に
今年の上半期からARTZONEでの連続企画としてはじまった、公開勉強会「震災と芸術」が元にあります。

企画に関わる学生はほぼ震災を経験、直面していない者ばかりで
現地にも行ったことはありませんでした。
後半期もこの企画を進めるうち、実際に現地や住民の人の声を生でみること、聞くことが必要だと感じていました。

ちょうど震災から2年半が経つ今、東北へ向かいました。



9月5日(一日目)。
仙台、石巻、女川へ。




空港を降りて、すぐに向かったのは、せんだいメディアテーク(http://www.smt.jp/)。


ひとつも壁のない大きく開かれた建築構造に、初めてきた学生は皆驚き。


年間100万人が訪れる、仙台の象徴となるメディアテークは、この日も多くの人が。




そして企画・活動支援室室長を務める、甲斐賢治(写真左)さんにお会いしました。

甲斐さんは震災直前まで大阪のNPO法人で活動を続けていましたが、
仙台メディアテークに移った直後、震災が起こり、
その震災復旧と新たな関連活動に取り組んでいます。

震災の記録・アーカイブを行っている、
「3.11をわすれないためにセンター」の震災後の立ち上げの話から



メディアテーク7階につくられた、震災復興や地域社会について
考えて対話を行うための場「考えるテーブル」


考えるテーブルにて行われる、年齢や職業を横断した人たちで
物事の根本的な問いをテーマに開かれる「てつがくカフェ」などの内容を中心に、たくさんのことを聞きました。



以下甲斐さんの話から印象深い言葉。

「当事者とは誰か、究極の当事者は死者であるかもしれない。その当事者の度合いはさまざま。インサイダー、アウトサイダーにしかり、その中間にいる共感者や感心者というシンパサイダーという存在もある。そのシンパサイダーの当事者性の獲得というのはすごく大切な問題。当事者でないと発言できないというのは、おかしい。インサイダーでなくても、その事柄に近づいていく内に獲得して発言することができるのが政治性なのではないか。」

「自分と他者の”隔たり”をいかに越える機会をつくるか。被災者もそうでない人も、両者が分かりあえないことは前提にして、"隔たり"を意識しながら、その中で対話をすることが大事なはず。隔たりを行き来する事業をつくる必要がある。」




昼食は、甲斐さんに勧めてもらった、メディアテーク向かいの定食屋「井ノ上」で。
温かいやさしいご飯に、一同感動!



午後には仙台を後にして、石巻に到着。



   宮城県出身の漫画家・石ノ森章太郎のキャラクターオブジェが、街にはたくさん。



地域復興プロジェクト「石巻2.0」(http://ishinomaki2.com/)で
活動する方々を訪ねました。

お話をうかがった斉藤さんは、このプロジェクトに参加するために、関東から移住してきたそうです。


小ワーキングスペースの設置、復興BARの開設など
新たな石巻の町づくりや活動支援は、移住してきた若者によっての活動が大きく影響しているようでした。



その後に街を散策中、ふと営まれる石巻工房を訪ねると...


ものすごく威勢の良い職人さんが。

話を伺うと、震災のバッドジョーク連発のコシのあるトーク炸裂...。

突然の訪問にも関わらず、そんなたくさんの話をしてくださったのは
オリジナル家具をひとつひとつ手作業でつくり
石巻から全国へ発送している人気工房の工房長の千葉さん。



圧倒される学生軍。




店先では震災直後の通りの風景がどうだったかということ、
自律した復興と街の活性化の難しさ、今後について聞きました。





夕暮れの石巻のまちです。


あっという間に夜になり、研修一同は女川に到着。

研修一日目、初宮城を回った研修メンバーに
夜、最後に待ち受けたのは、地元のお食事処「かぐら」にて.....


目が飛び出て口が塞がらない、地元の豪華魚介料理。


ん、んまー!


そして地元の方との宴に。
上の写真は、女川の観光協会会長の鈴木さん。


女川で生まれ育ち、
現在カフェを営む、ファンキーポップな岡さん。



ファンキーポップな学生と岡さんは、早くも師弟関係に。


女川で短期滞在制作をするカナダ人アーティスト・カミーラさんと
地元のアートプロジェクトを行う方々。




写真に写る少し不気味なイガイガの魚介物は、”ほや”。
女川の住民には親しみ深い、名産物。
初めて食べた学生は皆、美味しさに感動しました。

鈴木さんや岡さんは少年時代にほやを捕り、
ほやの中に明かりを灯して、ランプにしたこともあるそう。

そのエピソードを語る鈴木さんと岡さんをみて、住民と海の強い関係と
震災後も地元を愛して、ここに住み続けることの心情を知りました。
「女川の魂」だと話す、岡さんの熱い愛のある話に心が打たれました。




9/6 (2日目)

2日目は、女川、南三陸。



女川の朝。


岡さんが営むカフェ兼住民の憩いの場、「おちゃっこクラブ」。


カフェ内にある、震災のアーカイブに見入る学生スタッフ。



昨夜会ったカミーラさんが、岡さんのサーフボードにペインティング中。


後半へ続く。

(写真/研修参加学生及び教員、文/ASP学科二回・松尾若葉)


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