2013年5月29日水曜日

《アーティスト☆トーク1「マチノヒトミ」》


こんにちは。
暑くなってきて夏が近づいてきましたね。


5月26日に行われた、現在開催中の「リサーチ☆パラダイス~潜水と浮上~」展
関連企画トークイベント《アーティスト☆トーク1「マチノヒトミ」》の様子をお届けします。


今回のトークメンバーは、
《キョート・サーヴェイ・プロジェクト》より写真作品を出展している
京都造形芸術大学現代美術・写真コース3回生の
早瀬道生さん、金田奈津実さん、穐山史佳さん
ブブ・ド・ラ・マドレーヌさんとユニットを組み今回《水図》を出展している
地域研究家の山田創平さんです。


初めに、本展の企画者である山下里加さんから
挨拶と、今回のトークの趣旨の説明がありました。


「京都を撮る」を大きなテーマとする《キョート・サーヴェイ・プロジェクト》。
今回出展している三人が撮った京都の地域を見ながらトークは進められていきます。

山下さんの
「写真の目で見ること、学問の目で見ることの二つの目が重なったときどうなるのかを実験していきたい」
という言葉でアーティストトーク「マチノヒトミ」は始まりました。


まず、作家である学生三人に、撮影のシチュエーションや意図を聞き
そこから地域研究を専門とする山田さんにもお話をしてもらいました。




穐山さんは、京都最大の部落地区である崇仁地区を撮影しています。

活動の中での調査によって知った、崇仁地区の歴史や現状を話してもらいました。



「目を凝らさなければどんどん、消えていってしまうような静かで緩やかな変化をどう記録するか」を考えたと言う穐山さん。
写真というメディアのもつ記録する力と、それを使ってできることをすごく考えておられました。
写真の記録性と言う基本の部分を、きちんと考えることが表現という応用に繋がるのかもしれません。



京都の南部に流れる木津川周辺のまち並みを撮影している金田さん。

その地域で出会った人や、地域への自らの興味を話してもらいました。


「言葉なしにイメージだけで類似点や差異を見せたい」と金田さんは言います。
人が生活することで建物に表れてくる、類似点や差異を見て発見し
なぜそうなったのかを考えることによって湧き上がる金田さんの興味が伝わってきます。
「気になる」という感情は、リサーチをする上での出発点と言えるかもしれないですね。



早瀬さんは、鴨川のホームレスを撮影しています。

ホームレスに対しての自らの考えや撮り始めた当初と今の変化を話す早瀬さん。


「ホームレスの人と話をすることで自分が今何をしているのかを考えさしてくれる。それが、逃げようとしている自分を引きとめようとしている」と話す早瀬さん。
臆病な部分を自覚した上で、目をそむけず向き合い続けたいという早瀬さんの
固い意志が伝わってきました。



そして、それぞれの話を聞いた山田さんから、撮影された地域に対して
事実を元にした研究者としての見解を聞きました。






また、山田さんは三人ともに「なぜ、あなたがその場所を撮るのか」
と問いかけました。
作家と被写体の関係に注目し、三人の被写体に対する意識を探っていきました。
山田さんは自らのインスピレーションも大事にしながら調査による勉強の両立をもっとしていくべきだと言います。

学生に対して少し厳しい意見も出ましたが
山田創平さん自身「三人には何か乗り越えていける力がある」と感じたそうです。


この、トークイベントで穐山さん、金田さん、早瀬さんの
制作のお話と共に、表現のための調査の重要性について
詳しく聞くことができたのではないでしょうか。


撮影:野々下禄斗






2013年5月28日火曜日

公開勉強会 Lesson2

こんにちは。
最近、ちょっと梅雨の匂いがします。
 
 
5月25日、ARTZONEでは『「私たち」と「震災」と「芸術」―吉川由美の語る「生きてきた幸せ・生きていく喜び」を共有するために―』トークショーがありました。
 
 
公開勉強会第2弾となった今回のゲストは
 
 
 
仙台在住のアートプロデューサー・吉川由美さん。
 
震災前から宮城県南三陸町で活動をされてきました。
 
 
非営利で活動するENVISIの代表もされている吉川さん。
「envision=思い描く」から付けたそうです。
「1枚の町の写真から、どれだけ具体的に思い描くことができるか」と、お客さんに問いかけます。
 
 
 
「きりこプロジェクト」
 
神棚に貼り、お祝いの意味をもつ飾り・きりこに注目した吉川さんは、街の女性たちに声をかけ、街のお店や旅館に「宝物はなんですか?」などの質問をして回ってもらったそうです。
 
聞いた話をもとにきりこをデザインして、各々の軒先につけていくというプロジェクトです。
 
取材してもらう内に見えてきた、隠れていた町の物語。
 
プロジェクトを通して、人々と相互にコミュニケーションがとれるようになったり、着地型観光について話し合われたりもしたそうです。
 

 
そして、震災から1年を振り返って、こどもたちと歌をつくるワークショップをされました。
 
つくることでどんな意味があるのか、
 
この環境で本当に行っていいのか、
 
色んな人と話し合って実現したそうです。
 
ポジティブなことを集めて歌にしようということで、「どんなことが幸せ?」とこどもたちに聞いたとき
 
1人の子が答えたのは「明日を生きること」でした。
 
 
 
トークショーでは実際のこどもたちの歌声を、ダイジェストで聴かせてもらいました。
 
 
 

 
トークショー後は、お菓子をつまみながらの二次会タイムでした。
 
 
吉川さんは、「きりこプロジェクトは住民たちそのもの」とおっしゃっていました。
 
 
 
みんなが「当たり前にかなしい」。
 
 
その現実を間のあたりにされた時、次の1歩を踏み出さなくてはと感じたそうです。
 
 
町の人たちが主体的に活動するプロセスの中で、「今ここから生きていく」きっかけになれたら、と願っておられます。
 
 
被災地で暮らしておられる方だからこそ語ることができる「幸せとはなにか」を聞くことができたのではないでしょうか。
 
 
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次回、Lesson3もぜひお越しください。
 

 
 
撮影:早瀬道生
 
 
 

2013年5月20日月曜日

『リサ☆パラ』オープンしました!

こんにちは。
暑すぎて、「これは夏服を出してこなければ・・・」と思ったら、いきなり寒くなったり・・・
どうなっているのやらですね。



さて

連日夜中まで続いた『リサーチパラダイス 潜水と浮上』の搬入。
 
も、無事おわり・・・
 
 
 
 
 
 オープンしました!!
 

初日となった18日は、京都造形芸術大学 芸術表現・アートプロデュース(ASP)学科准教授であり、本展の企画者である山下里加さんによるギャラリートークがありました。
 

 
まずは1階。

『野生のデザイナー』の著者である中川めぐみさんの作品、

 
 
 
同大学の空間演出デザイン学科准教授である家成俊勝さんが中心となり、さまざまな人々を調査した『チョウニチジョウ』、
 
ASP学科の授業の1つである「美術館調査」の報告書『わたしたちがみた当世美術館事情』のブックガイド。
 
色んな視点から見えてくるリサーチの姿。

 
山下さんがナビゲイターとなり、 1つ1つのブースをお客さんと回ります。

今回は何人かの出展作家の方も来て下さり、ご自身の作品についてのお話も聞くことができました。

そして2階へ。

 


美術工芸学科現代美術 写真コースの授業「キョート・サーヴェイ・プロジェクト」に参加した穐山史佳さん、金田奈津実さん、早瀬道生さんの作品をみんなで鑑賞しました。


「京都と撮る」


その一言だけ与えられた彼らが表現した「京都」をぜひ会場でご覧ください。



最後にその向こう側にある空間へ。


・・・?!



雰囲気が変わりましたね。。

現代美術作家のブブ・ド・ラ・マドレーヌさん、地域研究者の山田創平さんなどによるインスタレーション作品『水図2013』を、今回はブブさん自らナビゲイトしてくれました。

2010年から大分県別府にて、住民のインタビュー・地域の歴史などのリサーチを経て制作されました。

 
 「すべての表現は、何らかのリサーチ(観察)の結果である」とブブさんはおっしゃいます。


 

みなさんは「リサーチ」と聞いてなにを思い浮かべますか?


本展には、思い込みを覆される驚きやなにかを知ることへの喜び、不安が詰まっています。



もっともっと語りたいところですが・・・・


続きは、自分の身体でリサーチしに来てください。




 
 そして会期中は、まだまだイベントがもりだくさんです!↓
 
 ぜひぜひそちらにもお越しくださいませ◎



撮影:早瀬道生

 

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『リサーチ☆パラダイス 潜水と浮上』
2013年5月18日(土)~ 6月9日(日) 会期中無休・入場料無料
平日 13:00〜20:00 / 土日祝 12:30 〜 20:00(最終日は17:00まで)

【出展作家、団体】

ブブ・ド・ラ・マドレーヌ+山田創平、山中透、穐山史佳 金田奈津実、早瀬道生、中川めぐみ、
京都造形芸術大学 芸術表現・アートプロデュース学科、空間演出デザイン学科

【関連イベント】
 
5月26日(日)17時~ 《アーティスト☆トーク1「マチノヒトミ」》
穐山史佳+金田奈津実+早瀬道生(『 キョート・サーヴェイ・プロジェクト 』参加作家)
× 山田創平(地域研究者)

5月29日(水)19時~ 《アーティスト☆トーク2「自分でつくれるやん !!」》
家成俊勝(建築家)×中川めぐみ(『 野生のデザイナー』著者)
×ブブ・ド ・ラ・マドレーヌ(現代美術作家

6月8日(土)19時~、6月9日(日)15時~、17時30分~
『水図_2013』パフォーマンス/料金:500円

2013年5月17日金曜日

『リサーチパラダイス 潜水と浮上』搬入

 
こんにちは!
ARTZONEでは次の展覧会、『リサーチ☆パラダイス 潜水と浮上』の会期が迫ってきました!
 
そこで、9日から始まった搬入の様子をお届けします。
 
 
 
1回生の新スタッフは今回が初搬入です!
何もない空間に立てた大きな壁を、白と黒のペンキで塗装します。
 
 
……(かなり集中しています)
 
 
そして
2日間の塗装を終え、今までのARTZONEとは一味違う空間が完成しました!
 
 
 
 
15日からは2階にプロジェクターを設置し、1階には大きな本棚が!
一通りの会場づくりを終え、16日から本格的な作品展示が始まりました。
 
 
 
 
上:『キョート・サーヴェイ・プロジェクト』参加作家、金田さんによる作品
下:『水図_2013』ブブ・ド・ラ・マドレーヌさん・山田創平さんによるインスタレーション作品
 
水図は今展DMの表にも使われていますね!
 
 
 
ミーティング中のスタッフとブブさん。
緊張感が伝わってきます。。
 
 
 
 
 
搬入も残すところあと1日、最後まで頑張りましょう!
『リサーチ☆パラダイス 潜水と浮上』オープンまであとわずか。
乞うご期待ください!
 
 
 
撮影:山岸優(ARTZONEスタッフ)
 
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『リサーチ☆パラダイス 潜水と浮上』
 
2013年5月18日(土)~ 6月9日(日) 会期中無休・入場料無料
平日 13:00〜20:00 / 土日祝 12:30 〜 20:00(最終日は17:00まで)

【出展作家、団体】
ブブ・ド・ラ・マドレーヌ+山田創平、山中透、穐山史佳 金田奈津実、早瀬道生、中川めぐみ、
京都造形芸術大学 芸術表現・アートプロデュース学科、空間演出デザイン学科

【関連イベント】
5月18日(土)17時~ 《ギャラリー☆トーク》 ナビゲーター:山下里加(本展企画者)
 
 
5月26日(日)17時~ 《アーティスト☆トーク1「マチノヒトミ」》
穐山史佳+金田奈津実+早瀬道生(『 キョート・サーヴェイ・プロジェクト 』参加作家)
× 山田創平(地域研究者)

5月29日(水)19時~ 《アーティスト☆トーク2「自分でつくれるやん !!」》
家成俊勝(建築家)×中川めぐみ(『 野生のデザイナー』著者)
×ブブ・ド ・ラ・マドレーヌ(現代美術作家

6月8日(土)19時~、6月9日(日)15時~、17時30分~
『水図_2013』パフォーマンス/料金:500円

2013年5月12日日曜日

公開勉強会 Lesson1 「私たち」と「震災」と「芸術」

こんにちは。
早くも夏の気配漂う5月の京都です。
 

11日、ARTZONEでは『「私たち」と「震災」と「芸術」 ―小山田徹の語る女川常夜灯プロジェクト―』のトークショーがありました。



年間を通して開催される「公開勉強会シリーズ」。

第1回目となった今回のゲストは、


美術家・京都市立芸術大学准教授の小山田徹さん。
 
98年までパフォーマンスグループ「ダムタイプ」で舞台美術・監督を担当され、

平行して「風景収集狂舎」の名で、様々なコミュニティ、共有空間の開発を行ってこられました。

 
 
 


 
そして、東日本大震災以降、宮城県女川の住民の方とお盆に行っている「迎え火プロジェクト」。

「震災直後、たき火の火で生き延びた」という地元の方たちのお話を聞き、始まったそうです。


 
震災をきっかけに見つめ直すことになった「家族の形」や

目の前にした時の芸術の(不)可能性。
 

自分たちの「中」で、この問題は果たして続いているのか、どうか。

 
 
人と深いつながりをもつことを目的としているという小山田さん。
 
「もし大きな災害が起きた時、具体的に相手の顔を思い浮かべることができるような友達」

 そういう関係がいざという時に、一番強いものになるのかもしれません。






そして
 
トークショー後にはプチ二次会がありました。


今日は実際にみんなで共有空間をつくることに。

 
「たき火をしよう」
 
 
ということで!






みんなで屋上へ!


たき火を囲みながら、お菓子をつまみ談笑するみなさん。
 
 
初対面同士で打ち解けたり
 
みんなでマシュマロ焼いたり
 
いつのまにやら食べ物が増えていたり。
 
 
小山田さんの「たき火をすれば、勝手に人は集まってくる」という言葉が、じわりとくる風景でした。
 
野放しで、人がいつの間にか楽しいことを始めているという環境は

今、とても貴重なものではないでしょうか。
 

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そんなこんなでスタートした本シリーズ。
 
 
次回Lesson2に続く!!

 
(マシュマロ食べたかった)





トークショー撮影:早瀬道生(美術工芸学科 写真コース)
二次会撮影:中尾めぐみ(ARTZONEスタッフ)


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公開勉強会 Lesson2 「私たち」と「震災」と「芸術」
『吉川由美の語る「生きてきた幸せ・生きていく喜び」を共有するために』

日時:2013年5月25日(土)
時間:17:00-19:00
ゲスト:吉川由美(アートプロデューサー・演出家)
場所:ARTZONE
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